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秒速5センチメートル、再び(第二話)
 
二話でも、描かれることは一話とほとんど変わっていません。

『子供が己の無力さを痛感し、一つ大人になる』

この話だったように思います。



カナエは非常にわかりやすい悩みを抱えています。恋と進路です。
うまく波に乗れないサーフィン、というのは『頑張っているのに自分ではどうしようもないこと』として非常にわかりやすい例えだと思いました。恋も、進路も、波も。自分だけの力でどうにかできることではありません。
カナエはその中で悩み、苦しんで、タカキに「やさしくしないで」と泣き出してしまいます。


何か漠然と感じている圧迫感や毎日の不安のような感覚、それがつかめなくて、ただタカキがやさしいことが苦しい。苦しいのはそのせいだけじゃないはずなのに、ただ、苦しい。


ほんとうは、苦しいのは自分が無力だからです。
好きな人が振り向いてくれない。波に思うように乗れない。これから先の茫漠とした長い人生を、自分で選ばなければならないのにどう選べばいいのかわからない。どうすればいいのかわからない。どうしようもない。だから苦しい。


けれど彼女は、タカキの言葉を聞いて少し安心します。
「俺だって、わからないことだらけだよ。できることから一つずつやってるだけなんだ」
彼女からしてみれば、タカキは『世界の秘密』そのものに見えたはずです。彼をつかまえることができれば、この無力さも、どうしようもなさや正体の分からない不安から解放されるんじゃないか。そんな風に思っていたのではないでしょうか。


けれどもタカキの言葉によって彼女は意識の外で気付きます。
もしかしたら彼は『世界の秘密』ではないのではないか、と。手の届かないそんなものじゃなくて、普通の男の子かもしれない、と。犬とたわむれながら彼女は笑います。「タカキくんも私と同じなんだって。わからないんだって。」
自分よりも大人に見えた男の子。大人の世界を知っている、世界の秘密だと思っていた男の子も、自分と同じ悩みを持っているかもしれなかった。そのことがカナエを安心させたのでしょう。


大人だと思っていた相手も、実は自分とそんなに変わらないかもしれない。
そう気付いたカナエはふっきれたように波をつかまえました。そしてタカキに告白しようとします。
けれどなかなか出来なくて、どうしようもなくて、苦しくて。


そこで飛んでいくのが、探査ロケットでした。


それはまさに『世界の秘密』を知るための装置です。
信じられないほど孤独な旅をして、誰にも会えず、帰れるかすら分からず、それでも目的を達成できるか、そんなことさえわからないのに、ただ一途にまっすぐに向かっていく存在です。


カナエはその瞬間に悟ったのでしょう。
タカキもこのロケットと同じだ、と。知ったら自由になれるはずの『世界の秘密』を求めて、一途に、まっすぐに、他のものは何も見ないでそれに向かっていく存在なのだと。
彼が求めているのは世間を自由自在に生きるための力、すなわち『世界の秘密』であり、それ以外のものは全て些末なことです。カナエの事も。
それに気付いてしまったから、彼女は告白するのを止めました。


ここでも、タカキとカナエの間には明確な差があります。


カナエは、『世界の秘密』だと思っていた男の子は普通の男の子でもあったんだ、と気付いて、どうしようもない現実と折り合いをつけます。明日も明後日もやっぱりどうしようもなく好きなままなんだ、と。
けれどもタカキは、当てのないメールを打ち続け、遠い所を見つめている少年は、『世界の秘密』を手に入れようとまだもがいている途中でした。どうしようもない世界も、何か良く分からない真実だか秘密だか、力だか、とにかくそういうものが手に入りさえすれば、自分の自由になるのではないか。
あの時守れなかったアカリの魂を、守ることができるくらいの存在になれるのではないか。
どうしようもなくなんてない世界が、いつか訪れるのではないか。


その結果がどうなったかは、第三話に続きます。

 
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【2014/08/03 07:46】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0)
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